CES 2014で華々しく発表されたコンシューマ向けコンパクト4Kハンディカム『FDR-AX100』。
先日、日本国内でも発表がありました。
その主な特徴は
- 1.0型 有効約1420万画素の裏面照射型CMOSセンサー Exmor R搭載
- 新世代の画像処理エンジンBIONZ X採用
- 最大広角29mmZEISS バリオ・ゾナーT*レンズ採用
- プロ用に開発されたXAVCフォーマットを民生用に拡張したXAVC Sの採用
など色々とありますが、今回は「XAVC」とは何ぞや?に焦点をあてて見たいと思います。
少し難しい話しなので間違いがあるかもしれませんが、その際はご指摘頂ければ幸いです。
XAVCとXAVC S
家庭でもフルHDのムービーを撮影出来る用になって随分経ちます。
その主な記録方式は「AVCHD」。
ハンディカムは勿論、近年はデジタルカメラ、デジタル一眼レフカメラ等での動画撮影もこの記録方式を採っています。
AVCHDは2006年5月に松下電器産業(現:パナソニック)とソニーが基本仕様を策定したハイビジョン動画記録フォーマット。
AVCHDにはその規格上1秒間当たりに割けるビットレートに28Mbpsという上限が存在します。
一方、XAVCはソニーが開発した4K対応の動画記録フォーマット。
XAVC規格の主な仕様
- 解像度: 4K (4096×2160/3840×2160)、フルHD、プロキシ
- 圧縮方式: MPEG-4 AVC/H.264
- ビット数: 12bit、10bit、8bit
- フレームレート: 最大60fps(※撮影時は180fpsまで対応)
- カラーサンプリング方式: 4:4:4、4:2:2、4:2:0
解像度について4096×2160と3840×2160があります。
正確には後者はQFHD(Quad Full High
Definition)と表記されるようです。
※2K:2048x1080、HD:1920x1080
XAVC規格は主にプロ向け、業務用機器向けの規格となります。
それを拡張、民製向け(コンシューマー向け)の規格としたのがXAVC Sです。
カラーサンプリング方式
上の表のColorの項目に「4:2:0」とか「4:4:4」などの記載があります。
これは一体何を表しているのでしょう。
PC上では色を、光の三原色で表現します。
- 赤:R
- 緑:G
- 青:B
一方、TVやBD・DVD等は別の方式が採用されています。
- 輝度:Y
- 色差:Cb(青系統)
- 色差:Cr(赤系統)
※YUV、YCbCr、YPbPrなどと表記します。厳密にはこの3つは違うそうなのですがここでは割愛します
これらはRGBの値を元に計算式によって算出されます。
人間の目は色の変化よりも明るさの変化に敏感なので、色差成分を減らしても不自然だと感じにくいという特性があります。
その特性を利用し、CbやCrの成分を間引くことで見た目の劣化を極力感じさせずデータ量を節約する事が可能です。
つまり、4:4:4とは各成分について間引いていないものを表します。
一方、4:2:0は輝度以外の成分について間引いていることを表します。
●YCbCr 4:2:2
輝度(Y)に対して色差(CbCr)の水平方向データ量を半分間引いた方式です。
主に業務用VTR機器で採用されている方式です。
フルHD1920x1080の場合、色差成分はそれぞれ960x1080となります。
●YCbCr 4:1:1
輝度(Y)に対して色差(CbCr)の水平方向データ量を4分の1まで間引いた方式です。
主に家庭用DVフォーマット業務用DVCAM、DVCPROフォーマットに採用されている方式です。
フルHD1920x1080の場合、色差成分はそれぞれ480x1080となります。
4ピクセル分が同じCbCr値となるため422の場合と比較すると明らかに劣ります。
●YCbCr 4:2:0
輝度(Y)に対して色差(Cb)色差(Cr)の水平・垂直方向のデータ量をそれぞれ半分まで間引いた方式です。
具体的にはY:4、Cb:2、Cr:0、Y:4、Cb:0、Cr:2が交互になっているようです。
※但し3成分揃わないとカラーが再現出来ないので恐らく補完して復元されていると思われます
主にデジタルTV放送、BD・DVD当、HDV、AVCHDなどに採用されている方式です。
XAVC Sもこの方式になります。
フルHD1920x1080の場合、色差成分はそれぞれ960x540となります。
解説によっては、色差成分は2つのピクセルにまたがっていると書かれているものもあって何やら複雑です。
この方式の優れている点は、4:1:1の時と同様、データ量は4分の1となっているのですが、画質面では4:2:0の方が有利となります。
尚、このカラーサンプリングによる圧縮はJPEGにも使われているようです。
Intra FrameとLongGOP
AVCHDやXAVCなどで用いられている圧縮は、先のカラーサンプリング方式による間引き(圧縮)だけではありません。
動画は1秒間にいくつもの静止画(フレーム)が集まったものと考えることが出来ます。
その一つ一つのフレーム単位で圧縮されたものがIntra Frame方式。
それに対し、各フレームを3種のフレームに分類。キーとなるフレームを元にその前後の差分情報のみを記録することでデータを圧縮する方式がLongGOPです。
- Iフレーム ・・・単体で完全な一枚の映像を再現
- Pフレーム・・・一つ前のフレームから予測されたデータ
- Bフレーム・・・前後フレームから予測されたデータ
XAVCは仕様上、IntraFrameとLognGOPの両方をサポートします。
対してXAVC SはLongGOP方式に限定し、より圧縮することでデータ量が抑えられ取り扱いし易く、また要求される機材スペックも抑えられますので、よりコンシューマー向けの記録方式となっています。
まとめ
XAVC SはAVCHDのように色差成分の間引き(クロマサブサンプリング)やLongGOPの採用によってデータ量を抑える動画記録方式という点では同じです。
しかし、1秒間あたりのデータ量(ビットレート)をAVCHD比で約2倍近くとすることでより高画質での記録を実現します。
更に現在のフルHDの4倍の解像度の4Kもサポートします。
ファイル形式(ラッピング形式)もより一般的なmp4ですので撮影後のデータの扱いもやりやすくなりました。
今後、ソニー製品にはスタンダードな動画記録方式として色々な機材に採用されていくのでしょうが、他メーカーも独自の方式をとっていたりでVHS vs
ベータのような状態にならないか心配ですw
さて、自分でもまとまったのかどうか怪しいところですが最後まで読んでいただきありがとうございます。
XAVC第2弾は記録メディアに焦点をあてたいと思っています。
お楽しみに!
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